アプリはメディアである

アプリは世界を席巻している。もし疑うなら、このAsymcoのHorace Dediuが作ったアプリ地図を見てほしい。世界でiPhoneの使える123ヵ国が示されている。当然iPhoneが手に入る国ではiPhoneアプリも手に入る。ウェブと同じく、アプリは世界中で流通している。

しかしこれが、「メディア」即ち本、音楽、映画となると、デジタル機器での流通範囲はずっと狭くなる。これもAppleだけに関してだが、DediuによるとiTunesストアで音楽を購入できる国は51ヵ国にすぎず、テレビ番組はわずか6ヵ国だ(下の地図参照)。私の第一印象:Appleは海外でのライセンス取得を進める必要がある。しかし、iTunesが国際化されたのは2004年だが、今でもアプリだけしか使えない国(72ヵ国)の方が、アプリと音楽両方の国よりも多いのだ。

旧来のメディア業界はライセンスに関してずっと制限が強く、テレビ番組と映画は特にそうだ。そこでは様々な流通チャンネル(劇場、有料テレビ、DVD、ケーブル、インターネット・ストリーミンプ)に関してあらゆる不可解なルールがまかり通っている。iTunes(およびインターネット全般)における、ビデオと音楽の異様に遅い地理的広がりを見ると、デジタルメディアが有意義な形で、国際的に合法な市場を形成するのは遠い未来のことのように感じる。

ただし、デジタルメディアの国際市場はすでに存在している。それはアプリと呼ばれ、それは多くの意味でメディアの未来をものがたっている。アプリはメディアである。これは、消費者向けソフトウェアやゲームが以前からメディアと呼ばれてきた(消費者の時間と注目をテレビ、本、音楽等と競う)、という意味でメディアの一種だと言うだけではない。むしろ、それは徐々に他の形態のメディアをも取り込もうとしている。

われわれがこの「ソフトウェアがメディアを食う」(Marc Andreessenの言い回しを借用)兆候を最初に見たのは、本だった。iPadで最も良く出来た本のいくつかは、単なるiBookやKindleバーションではなく本格的アプリだ。iPadで最高の子供向け書籍は完全なるアプリであり、画像やビデオを読書体験に組み入れている他の本や雑誌も同様だ。最新のアニメ映画をベースにしたTinTin iPad art bookはその典型例だ。そこには読者が操作できる3-Dモデルや、没入できる360度ルーム他、ソフトウェアで強化された様々なメディアが使われている。

音楽や映画は、それよりも受け身のメディアであるには違いないが、これも徐々に他のアプリの機能となりつつある。アプリが従来型メディアを次々と包含するにつれ、ソフトウェアとメディアの区別はいよいよ困難になる。われわれが最初にそれを見たのはクリエーションの分野で、歌やビデオや映画がiPhoneで録画されるようになった(次作の映画「Avenger」の一部はiPhoneで撮影された)。そして多くのアプリがビデオや音楽の断片を含むようになった。没入型3-Dルームの中を「歩く」と色々な物語が現れてくるところを想像してほしい。それは映画?それともアプリ? メディアを消費する形態は、現在主流の深く腰掛けて鑑賞するモードとは、大きく違ったものに変わるだろう。
しかし、そこに至るまでには数々の中間段階を踏む必要がある。例えば現在既にアプリ経由で配信されている長大メディアの状況を考えてほしい ― Spotifyでアルバム1枚全部をストリーミングで聴くのでも、Netflixの映画をiPadで観るところでもいい。こうしたケースでは、変換された元のメディア(音楽や映画)よりも、実際に変わったのはそれを体験する環境だ。メディアを見つける方法が、よりソーシャルでアルゴリズム的になってくる。

曲やテレビ番組がヒットするのは、FacebookやTwitterで何百万人もの人々が共有するからであり、ラジオやテレビに何百万ドルも宣伝費を注ぎ込むからではない。これらのサービスが、ソーシャルあるいはアルゴリズムを用いたお薦めによって、われわれが次に何を見るべきかを決定するようになる ― なぜなら、旧来型の番組プログラムが死んだ時、他にどうやって見るべきものを見つけられるというのか。

こうしてメディアを届けるアプリは、われわれの消費習慣 ― 何をどんな方法で観るか、聴くか、読むか ― に強い影響を与えるだろう。アプリは、われわれがソーシャル等のフィルターを介してメディアを見つけ、それをテレビ、iPad、ステレオ等何であれ便利なデバイスに送り込む手助けをすることになる。アプリはセットトップボックスやラジオや書店をバイパスする。アプリは、メディア消費の起きる場所である。今後メディア会社が、このトレンド無視するかそれと戦うかは彼らの責任だ。
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(翻訳:Nob Takahashi)

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